実家の片付けを業者に頼もうと考えたとき、多くの人が最初に悩むのが「業者に頼むといくらかかるのか」「どの業者に頼めばいいのか」ではないでしょうか。
実家の片付けが必要になる場面は人それぞれです。親を亡くして遺品整理をするケース、親が高齢になって生前整理を手伝うケース、施設入居や実家じまいのタイミングで一気に片付ける必要が出てくるケースなど、状況によって業者選びと費用感は大きく変わってきます。
私自身は、実家で暮らしていた父を亡くした際に遺品整理を経験しました。持ち家だったため退去期限に追われることはなく、自力中心で進められたのですが、それでも荷物量の多さに愕然とした記憶があります。もし実家が遠方だったり、親族が集まれない事情があったりすれば、業者に頼むしか選択肢がなかっただろうと感じています。

この記事では、実家の片付けを業者に依頼した場合の費用相場、業者タイプの違い、費用が変動する要因、自力との比較、実家特有の注意点までを整理します。主に亡くなった親の実家(遺品整理)を軸に解説しますが、生前整理や実家じまいのケースにも触れていきます。
実家の片付け業者の費用相場|間取り別・業者タイプ別

実家の片付けを業者に依頼した場合の費用は、間取り・業者タイプ・荷物量によって大きな幅があります。
前提として、実家の片付け費用に全国共通の公的な「間取り別相場」はありません。総務省行政評価局の調査報告書では、遺品整理サービスの見積書75例のうち、10万円超〜40万円以下のものが多くを占めていたという実態が公表されています。これに対し、民間の遺品整理マッチングサイトなどが集計している間取り別料金表は、事業者からの情報を集計した参考値と位置づけるのが正確です。
本記事でも、以下は民間集計ベースの参考値として紹介していきます。結論の概算感としては、一般的な実家(2DK〜4LDK程度)を業者に依頼した場合は10万〜60万円程度、一戸建てで荷物が多いケースでは100万円を超えることもあるようです。
同じ「片付け業者」でも、遺品整理業者、不用品回収業者、ゴミ屋敷清掃業者など、業者タイプごとに得意分野と費用感が異なります。どのタイプに頼むかで総額が数十万円単位で変わることもあるため、まずは相場の全体像をつかんでおくとよいでしょう。
このH2では、間取り別の費用相場、費用の内訳、業者タイプ別の費用感、費用の負担者までを一通り整理していきます。
(参照:遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書|総務省行政評価局)
間取り別の費用相場(実家想定)
実家の中心帯である2DK〜4LDK以上を軸に、業者依頼の費用相場を整理します。1R〜1LDKの小規模物件については、別記事で詳しく扱っているのでそちらを参照してください。
| 間取り | 費用相場 | 作業人数目安 | 作業時間目安 |
|---|---|---|---|
| 2DK | 9〜25万円 | 2〜5名 | 2〜6時間 |
| 2LDK | 12〜30万円 | 3〜6名 | 3〜8時間 |
| 3DK | 15〜40万円 | 3〜7名 | 4〜10時間 |
| 3LDK | 17〜50万円 | 4〜8名 | 5〜12時間 |
| 4LDK以上 | 22〜60万円 | 4〜10名 | 6〜15時間 |
出典:みんなの遺品整理(2024年3月20日時点の民間集計。以降の相場変動は反映されていない可能性があります)
実家の中心帯は「3LDK前後で17〜50万円」と把握しておくとイメージしやすいです。同じ間取りでも、荷物量、階数、エレベーターの有無、搬出経路、業者タイプなどによって金額幅が大きく変わります。この幅はブレというより、条件依存が強いということの反映とお考えください。
なお、戸建ての実家の場合は、同じ間取りのマンションより荷物量が多い傾向にあり、上限が上振れすることがあるようです。業界情報では、一軒家の2LDK〜3LDKで40〜80万円になるケースも報告されています。
▶ 関連記事:遺品整理の費用はワンルーム(1K)でいくら?相場と安く抑えるコツ
費用の内訳|見積もり書のどこを見るか
総務省行政評価局の調査では、見積書には「整理・搬出作業」「廃棄物の処理」「買取り代金」「車両費」などの項目が並ぶことが多いと報告されています。一方で「◯◯一式」としか書かれておらず内訳が不明な例もあり、後から比較がしにくく追加料金トラブルの原因にもなりやすいようです。
以下は、見積書でよく見かける項目と金額感の目安をまとめたものです。
| 費用項目 | 目安金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 仕分け・搬出作業 | 基本料金に含まれる | 作業人数×時間で計算される場合もある |
| 不用品の処分費 | 基本料金に含まれる | 大量・特殊品は追加費用が発生 |
| ハウスクリーニング | 一例として6〜15万円程度(戸建て想定) | 面積・汚れの程度・依頼範囲で大きく変動。空き家状態で安くなる傾向も |
| 家電リサイクル料 | 品目・メーカーごとに異なる+収集運搬料 | 4品目の料金は後述 |
| 供養・お焚き上げ | 依頼先により異なる | 業者経由の合同供養は比較的安価、お寺直接の個別供養は高め |
| 車両費 | トラックサイズに応じて | 数千円〜数万円が目安 |
家電リサイクル法の対象は、エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目です。処分時には、メーカーごとに異なる「再商品化等料金」に加えて、引取りを依頼する小売業者等が定める「収集運搬料金」がかかります。収集運搬料金は事業者ごとに異なるため、固定額ではありません。
最新の家電リサイクル券センターの公表情報では、再商品化等料金のおおよそのレンジは次のとおりです。
| 品目 | 再商品化等料金のレンジ |
|---|---|
| エアコン | 550〜2,000円程度 |
| テレビ(ブラウン管/薄型) | 1,320〜3,700円程度 |
| 冷蔵庫・冷凍庫 | 3,740〜6,149円程度 |
| 洗濯機・衣類乾燥機 | 2,530〜3,300円程度 |
これに収集運搬料金が加算されるため、実際に支払う総額はメーカー・品目・依頼先によって変わります。なお、再商品化等料金は毎年改定される可能性があり、2026年にも一部で料金改定が行われています。依頼前には、家電リサイクル券センターの公式サイトで最新の料金を確認することをおすすめします。
見積もり時は、「基本料金に何が含まれ、何がオプションか」を必ず確認しておくことが大切です。「一式◯万円」というざっくりした見積もりではなく、項目別の内訳が書面で出てくる業者を選ぶと、後のトラブルを避けやすくなります。
国民生活センターも、遺品整理サービスの契約前に作業範囲・追加料金の有無・見積書の内訳を必ず確認するよう注意喚起しています。民間調査(LIFULL senior、2023年、n=500)でも、見積もり後に追加請求を経験した人は一定割合に上るとされており、書面での明細確認は実家の片付けを進めるうえで欠かせない防御策になります。
(参照:遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果(ポイント)|総務省行政評価局/家電4品目の「正しい処分」早わかり!|経済産業省/再商品化等料金一覧|一般財団法人家電製品協会 家電リサイクル券センター/遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に|国民生活センター 見守り新鮮情報 第525号)
業者タイプ別の費用感の違い
実家の片付けを頼める業者は、大きく分けて4タイプに整理できます。以下の費用感はあくまで参考値で、同じタイプでも業者や物件条件で金額は大きく変動します。複数業者の見積もりで実際の相場を確認することをおすすめします。
| 業者タイプ | 費用感(2LDKマンション目安・参考値) | 特徴 |
|---|---|---|
| 遺品整理業者 | 15〜35万円程度 | 亡くなった親の遺品を仕分け・供養・買取まで一貫対応。生前整理にも対応する業者が多い |
| 不用品回収業者 | 10〜25万円程度 | 処分が中心。仕分けは依頼者側で済ませる前提が多く、費用を抑えやすい |
| ゴミ屋敷清掃業者 | 20〜60万円程度 | 荷物が部屋を埋め尽くしている状態に対応。親の生前整理でゴミ屋敷化しているケースにも |
| 特殊清掃業者 | 30万円〜(作業内容により大きく変動) | 孤独死・事件現場などの原状回復が必要なとき |
※上記は業界一般の目安で、複数業者の公開料金表や見積もり比較から整理した参考値です。実際の料金は業者・物件条件・依頼範囲によって大きく変動します。
※ゴミ屋敷清掃業者と特殊清掃業者は、通常の実家片付けとは性質が大きく異なります。荷物量・汚染の程度によって費用感が全く変わるため、該当するケースの読者の皆さんは、上記の金額はあくまで参考値として、個別の見積もりで確認してください。
一般的な実家の片付けなら、遺品整理業者(生前整理も兼ねるケースが多数)または不用品回収業者の2択になることが多いです。遺品整理業者は「遺品として扱う配慮」「買取・供養の同時対応」がある分やや高めに、不用品回収業者は「処分主体」なので費用を抑えやすい傾向があります。
親の生前整理を検討している場合も、遺品整理業者の多くが生前整理サービスを提供しているため、業者名に「遺品整理」と付いていても相談可能です。
なお、戸建ての実家の場合は、同じ間取りのマンションより荷物量が多い傾向にあり、費用が上振れすることがあるようです。民間の業界情報では、一軒家の2LDK〜3LDKで40〜80万円というケースも一例として報告されていますが、これも参考値として、実際は業者の現地確認を経た見積もりで判断してください。
特殊清掃が必要かどうかの判断基準については、孤独死の遺品整理|費用相場・特殊清掃の必要性・業者選びの注意点の記事で詳しく扱っているので、発見が遅れたケースに該当する読者の皆さんはあわせてご覧ください。
費用は誰が負担する?
実家の片付け費用は、原則として相続人が負担します。相続人が複数いる場合は話し合いで分担するのが一般的で、実家に資産価値があれば売却代金から精算するケースも多いようです。
ここで特に注意が必要なのは、相続放棄を検討している場合です。故人の財産(実家を含む)に手をつけると、相続放棄が認められなくなる可能性があるため、片付け着手前に必ず司法書士・弁護士に相談するようにしてください(詳しくは後述の注意点②で扱います)。
葬儀後の混乱期は特定の相続人が立替え、後日精算するケースが現実的です。領収書や明細は必ず保管しておきましょう。
親族間で費用負担を巡るトラブルも少なくありません。詳しくは遺品整理のトラブル事例7選|親族間の揉めごと・業者被害を防ぐにはの記事で扱っています。
実家の片付け業者4タイプの使い分け|どこに頼むのが正解か

費用感の違いは前のH2で整理した通りですが、「結局うちの実家はどのタイプに頼めばいい?」という判断基準こそが、読者の皆さんの本当の悩みではないでしょうか。ここでは、実家の状態別に最適な業者タイプを選ぶフローを提示します。
SERP上位の記事では業者タイプを混ぜて解説しているため、「自分のケースにはどれか」が迷いやすい構造になっています。ここではフロー式で判断できるように整理しました。
実家の状態で選ぶ業者タイプ(フローチャート形式)
以下の3つの質問に順に答えていくことで、適切な業者タイプが絞り込めるはずです。亡くなった親の実家でも、親が存命の生前整理でも使えるフローになっています。
質問1:故人の発見が遅れ、特殊な清掃が必要か?(亡くなっているケースのみ)
- はい → 特殊清掃業者(孤独死の遺品整理の記事で詳しく扱っています)
- いいえ、または親が存命 → 質問2へ
質問2:実家がゴミや物で床が見えない状態(いわゆるゴミ屋敷)か?
- はい → ゴミ屋敷清掃業者
- いいえ → 質問3へ
質問3:亡くなった親の遺品か、親が存命のうちの片付けか?
- 亡くなった後の遺品 → 遺品整理業者が第一候補
- 親が存命(生前整理) → 遺品整理業者(生前整理対応)または不用品回収業者
- どちらでも、仕分けを家族で済ませて処分だけ頼むなら不用品回収業者で費用を抑えられます
一般的な実家(3LDKで一般的な荷物量、遺品として扱うものがある)なら、遺品整理業者が第一候補になります。生前整理の場合も、遺品整理業者の多くが生前整理サービスを提供しているため、「生前整理を頼みたい」と伝えれば対応可能なケースが多いようです。
「仕分けは家族で済ませたが、処分だけ大量に残っている」という状況なら、不用品回収業者で費用を抑えられる傾向があります。
迷ったら遺品整理業者を選ぶのが無難だと思います。遺品整理業者の多くは、不用品回収やゴミ屋敷清掃、生前整理にも対応できるからです。
業者タイプ別|得意分野と注意点
各タイプの得意分野と、業者選びで押さえておきたい注意点を整理します。
遺品整理業者
- 得意分野:遺品の仕分け、供養、買取、ハウスクリーニングまでの一貫対応。遺族への配慮や声かけに慣れている
- 注意点:「遺品整理士」は一般財団法人遺品整理士認定協会が認定する民間資格で、国家資格ではなく業務独占でもありません。資格の有無は一定の知識の目安にはなりますが、廃棄物回収の法的許可とは別物です。資格+許可+実績の3点で総合的に判断するとよいでしょう
不用品回収業者
- 得意分野:大量の処分、短時間作業、買取対応の業者も多い
- 注意点:家庭から出る不用品の回収には、市区町村の「一般廃棄物処理業(収集運搬業)の許可」または委託が必要です。産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可では、家庭の不用品は回収できません(環境省・複数自治体の公式見解)。自社で許可を持つか、許可業者と適切に連携している業者を選ぶようにしてください
ゴミ屋敷清掃業者
- 得意分野:大量のゴミ・物が堆積した状態での一括処理、害虫駆除、消臭対応
- 注意点:基本料金が高めになる傾向があります。特殊清掃業者と兼ねているケースも多いです
特殊清掃業者
- 得意分野:孤独死後の原状回復、体液・臭気の除去、オゾン脱臭など
- 注意点:詳細は別記事で扱っています。遺品整理業者と連携が取れる業者を選ぶと、一括対応しやすくなります
実家の片付け費用が変動する5つの要因|高くなる・安くなるポイント

同じ間取りでも、業者の見積もり金額が倍以上違うことは珍しくありません。費用が変動する主な要因を押さえておけば、「なぜこの金額なのか」が理解でき、見積もり比較もしやすくなります。
実家の場合、一人暮らしの賃貸物件のケースと比べて、立地・構造・距離の要因が費用に大きく響く点が特徴です。
①荷物量|物が多いほど人員と車両が増える
費用の基本構造は、作業人数×作業時間×トラック台数の掛け算です。物量が増えれば、そのすべての数値が増えていきます。
同じ3LDKでも、家族4人が数十年住んだ家と、夫婦2人の家では、荷物量が2〜3倍違うこともあります。長く住めば住むほど、思い出の品も実用品も積み重なっていくからです。
事前に不要品を少しでも処分しておくと、見積もり金額が下がる傾向があります。ただし、削減幅は荷物量や業者によって大きく異なるため、具体的な効果は業者に確認してみるのがよいでしょう。
②立地条件|エレベーター・道路幅・階数
エレベーターなしの建物や上層階からの搬出は、階段運搬のため追加料金が発生することがほとんどです。階数が上がるごとに作業時間と人件費が増えるため、同じ部屋でも金額が大きく変わります。
道路幅が狭くトラックが横付けできない場合は、小型車両で複数往復する必要があり、車両費と時間が増えます。実家が地方や田舎にあると、そもそも大型トラックが入れない立地も珍しくありません。
見積もり時に、業者が現地確認に来てくれるかどうかを必ず確認するようにしてください。電話やメールだけの概算見積もりだと、当日に追加請求が発生しやすくなります。
③遠方の実家|業者の出張料と立ち会いコスト
実家が遠方にある場合、業者の出張料が追加されることがあります。ただし、距離や業者によって大きく変動し、無料対応の業者も多い点は知っておくとよいでしょう。
また、依頼者(子世代)の立ち会い用交通費や宿泊費も見えないコストとして発生します。実家が数百キロ離れていれば、見積もり立ち会いと作業当日の立ち会いで2回分の往復が必要になるかもしれません。
立ち会い不要で対応可能な業者を選べば、こうした交通費を抑えることができます。遺品整理業者の多くが立ち会い不要プランを用意しており、貴重品の取り扱いについて事前に取り決めをしておけば現実的な選択肢になります。
遺品整理は49日前でもいい?の記事で扱った通り、葬儀で親族が集まった機会に貴重品の確保や重要書類の特定を済ませておくと、業者への完全委託がしやすくなります。
④買取できるものの有無|費用相殺で数万円〜数十万円減る
家具、家電、骨董品、貴金属など、買取対象となるものがあれば、回収費用から相殺できます。
古い実家ほど、思わぬ価値がある品が眠っているケースが多いようです。古銭、切手、和服、刀剣、食器など、家族には価値がわからないものでも、専門家が見れば高値がつくことがあります。
買取対応のある業者を選ぶと、総額を抑えやすくなります。ただし、「買取査定」を名目に安値で引き取ろうとする悪質業者もいるため、査定内訳を書面で出してくれる業者を選ぶようにしてください。
⑤供養・特殊品の有無
仏壇・神棚・人形・位牌などは、処分前にお焚き上げや合同供養を依頼するのが一般的です。費用は依頼先や宗派、地域で差が大きいため、見積もり時に個別確認する必要があります。業者経由の合同供養は比較的安価で済む傾向があり、お寺に直接依頼する個別供養はそれより高くなる傾向があります。
ピアノ・金庫・大型家具・大型家電は、別途処分費がかかります。特にピアノはタイプによって費用が大きく異なるようです。民間の参考情報では、電子ピアノは比較的安価で、アップライト・グランドと大型になるほど高くなり、階段搬出やクレーン・手吊りが必要な場合はさらに追加費用が発生する傾向が報告されています。
金庫は大きさと重量で費用が大きく変わります。
これらの「特殊品」は、見積もり時に必ず申告するようにしてください。当日に発覚すると追加料金の原因になります。
自力・業者・ハイブリッドの現実解|実家は「どこまで自分でやるか」が鍵

実家の片付けは、「全部自力か全部業者依頼か」の二択ではありません。「どこまで自分でやり、どこから業者に頼むか」の段階設計が、費用と負担のバランスを決めていきます。
自分でやる場合の手順、一人暮らしの片付け費用と手続きやワンルームの費用比較を踏まえつつ、実家特有の条件(遠方、持ち家、荷物大量)でどう判断するかを整理していきます。
完全自力でやれる実家の条件
完全自力でやれるのは、以下の条件がすべて揃う場合に限られると私は感じています。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 距離 | 実家まで片道2時間以内 |
| 期限 | 退去期限・売却期限がない(持ち家で焦る理由がない) |
| 人手 | 家族2〜3人が継続的に協力できる |
| 荷物量 | 2LDK程度、大量に物がない |
| 体力 | 作業者全員が健康で体力に問題なし |
私の場合は上記の条件がほぼ揃っていたため自力で進められましたが、実家が遠方だった場合は同じやり方はできなかったと思います。
具体的な自力の進め方は遺品整理を自分でやる方法|実体験から学ぶ手順と限界点の記事で詳しく解説していますので、自力を検討されている読者の皆さんはあわせてご覧ください。
完全業者依頼が現実的な実家の条件
以下のいずれかに該当する場合は、完全業者依頼が現実的な選択肢になります。
- 実家が遠方(片道2時間超)で、週末しか通えない
- 荷物が大量で、家族だけでは物理的に終わらない
- 家族・親族が高齢または遠方で、継続的な協力が困難
- 賃貸で退去期限が迫っている
- 孤独死・特殊清掃が必要
完全業者依頼の費用は、前のH2で示した相場表を参照してください。一般的な実家の3LDKで17〜50万円程度(民間集計ベースの参考値)で、戸建てで荷物量が多い場合はさらに上振れすることもあるようです。
ハイブリッド方式|「貴重品だけ自力、残りは業者」が最もコスパが良い
私が推奨したいのは、「貴重品・重要書類の確保」と「形見分け品(または残す品)の仕分け」を家族で済ませ、残りの大量処分を業者に一括依頼するハイブリッド方式です。これは亡くなった後の実家でも、親が存命の生前整理でも応用できる考え方です。
亡くなった後のケースでは、葬儀直後から四十九日の間に家族で仕分けを進め、四十九日前後に業者へ一括処分を依頼する流れが現実的です。
生前整理のケースでは、親と一緒に残す物・手放す物を仕分けし、業者に処分を依頼します。親が元気なうちのほうが、本人の意思で仕分けできるため、後悔が少なくなるようです。
私自身は、父の生前に遺品や財産についてまったく話し合う機会を持てませんでした。亡くなってから「何がどこにあるのか」「どの品を残すべきか」の判断がつかず、通帳や保険証券の所在を探すだけで相当な時間を要しましたし、残したい品と処分していい品の見極めにも悩まされました。
この経験から、生前整理は親の意思を確認しておくという一点だけでも、遺族の負担を大きく軽減する価値があると感じています。費用の話以前に、「何を残すか」の判断が親本人の口から聞けるかどうかが、遺品整理の難易度を決める最大の要因になると思うのです。
ハイブリッド方式のメリットとデメリットを整理しておきます。
メリット:
- 故人(または親)の思い出品を家族の手で仕分けできる(精神的納得感)
- 業者に任せる範囲が「処分」に特化するため、不用品回収業者で費用を抑えやすい(遺品整理業者より安いケースが多い)
- 親族間で「あれはどこにいった」の揉めごとを防ぎやすい
デメリット:
- 2段階の作業になるため、日程調整が必要
- 家族全員のスケジュール合わせが難しい場合は成立しにくい
費用比較例(3LDKの実家の場合・筆者試算):
| 方式 | 概算費用 | 所要期間 |
|---|---|---|
| 完全自力 | 3〜5万円(家電の台数や距離によっては5万円超) | 1〜3ヶ月 |
| 完全業者依頼(遺品整理業者) | 17〜50万円 | 1〜2日 |
| ハイブリッド(自力仕分け→業者処分) | 8〜20万円 | 2週間〜1ヶ月 |
上記はあくまで筆者の個人的な試算値です。自力の金額は遺品整理を自分でやる方法の記事で扱った筆者の体験に基づく概算で、家電の台数や実家までの距離、処分する荷物量によって大きく変動します。業者の金額は民間集計ベースの参考値(みんなの遺品整理2024年3月時点)を参照しています。実際の金額は、物件条件・業者・依頼範囲で大きく変わるため、必ず現地の見積もりで確認してください。
遺品整理は49日前でもいい?の記事で扱ったハイブリッド方式の考え方と連動しているので、時期判断と合わせて検討するとスムーズです。
実家を業者に頼むときの3つの注意点|トラブルを避けるために

実家の片付けは金額が大きく、親族や相続の論点も絡むため、慎重に進めないとトラブルが起きやすい領域です。ここでは、実家特有の3つの注意点を整理していきます。
注意点①(親族の合意)は、亡くなった後・生前どちらの実家片付けでも共通する論点です。注意点②(相続放棄)は亡くなった後のみ、注意点③(不動産処分)は亡くなった後・生前どちらでも関係してきます。
業者選び自体の失敗パターンは次のH2で扱いますので、ここでは「実家であるがゆえの注意点」に絞って見ていきましょう。
注意点①|親族の合意を必ず取ってから依頼する
実家は親族全員にとって思い出の場所です。子世代だけの判断で業者を入れると、後から「勝手に処分した」「形見分けをしたかった」と揉めるケースが後を絶ちません。これは亡くなった後・生前どちらの実家片付けでも共通する論点です。
業者依頼前に必ずやっておきたいこと:
- 相続人または家族全員に「業者依頼の予定日・範囲・費用」を共有する
- 形見分け(または思い出の品)の希望を事前にリスト化してもらう
- 可能であれば、見積もり段階から代表者以外も1名立ち会う
生前整理の場合は、親本人の同意が大前提です。子世代が先走って業者を手配すると、親子関係の悪化につながります。親に「なぜ片付けたいのか」を丁寧に説明し、本人の意思で進められる範囲を尊重することが大切です。
合意形成がうまくいかないと、兄弟姉妹間の関係が長期的に悪化するリスクがあります。詳しくは遺品整理のトラブル事例7選|親族間の揉めごと・業者被害を防ぐにはの記事で解説しています。
注意点②|相続放棄を検討中なら業者依頼は慎重に
相続放棄を検討している場合、故人の財産(実家の遺品を含む)を処分すると「単純承認」とみなされ、相続放棄が認められなくなる可能性があります(民法921条1号)。
ただし、条文の但書で「保存行為」は除外されており、判例では経済的価値のない遺品の形見分けなどは単純承認に当たらないとされるケースもあるようです。どこまでが「処分」に該当するかの線引きは難しく、自己判断は危険な領域と言えるでしょう。
故人に多額の借金がある場合、相続放棄ができなくなると、子世代がその借金を引き継ぐことになります。
業者依頼前に、遺品に手をつける前の段階で、司法書士や弁護士に相続放棄の可否を相談するのが最も安全です。
相続放棄の期限は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」(民法915条1項)と定められています。この期限内に判断が必要になります。
(参照:民法|e-Gov法令検索)
注意点③|不動産処分を視野に入れるなら片付けの順序に注意
実家を売却・賃貸・解体する予定があるなら、片付けの順序と業者選びも変わってきます。
売却予定の場合:
- 一般的には、家の中を空にしてから不動産会社に査定を依頼するほうが、物件の状態を評価してもらいやすくなるようです
- ハウスクリーニングまで対応できる業者を選ぶと、引き渡しがスムーズです
解体予定の場合:
- 荷物を完全撤去する必要はありませんが、家電リサイクル法対象4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)と危険物(農薬、薬品、ガソリンなど)は別途処分が必須です
- 木造住宅の解体費用は、業界情報では坪3〜6万円前後が目安とされ(都市部では坪4.5〜6.5万円というケースもあるようです)、30坪なら本体工事費で90〜180万円前後が相場の幅として紹介されています。残置物処分や外構撤去などの付帯工事が加わると、総額はさらに上がります。いずれも業者・物件条件で大きく変わるため、複数業者の見積もりで確認してください
- 解体業者が片付けも兼ねるケースもありますが、費用が割高になることも多いようです
2024年4月から相続登記が義務化されました。相続で不動産を取得した相続人は、相続による取得を知った日から3年以内に相続登記の申請が必要です。正当な理由なく怠った場合は、催告などの手続きを経たうえで10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
また、空き家を放置し、管理不全空家等または特定空家等に該当する状態になり、さらに市区町村から勧告を受けた場合、その敷地は固定資産税等の住宅用地特例の対象外になります。住宅用地特例が外れると固定資産税が実質的に大きく上がるため、不動産処分の方針は早めに決めておくのが賢明です。なお、住宅用地特例が外れるのは「指定された段階」ではなく「勧告を受けた段階」である点に注意してください。
実家じまい全体の手順については、別記事で詳しく扱う予定です。
(参照:相続登記の申請義務化について|法務省/相続登記の申請義務化に関するQ&A|法務省/固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置(PDF)|国土交通省)
業者選びで失敗しない4つのチェックポイント

実家の片付けは金額が大きい分、業者選びの精度が総額を大きく左右します。悪質業者に当たってしまうと、追加請求・不法投棄・親族トラブルのすべてを抱え込むことになりかねません。
遺品整理のトラブル事例7選と連動しつつ、実家の片付け文脈に絞った業者選びのチェックポイントを見ていきましょう。
①許可証の確認|不法投棄を避けるための最低条件
家庭から出る不用品を廃棄物として回収するには、市区町村の「一般廃棄物処理業(収集運搬業)の許可」、または市区町村からの委託が必要です。産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可だけでは、家庭の不用品回収はできません。国民生活センターも事業者選びで許可の有無を確認するよう注意喚起しています。
一般廃棄物処理業の許可の運用は自治体ごとに異なるため、業者に「自社で許可を持っているか、または許可業者と適切に連携しているか」を確認しておくとよいでしょう。
無許可業者に依頼すると、不法投棄や高額請求などのトラブルにつながるおそれがあります。業者のホームページ、または見積もり時に許可証の写し(または提携先の許可情報)を提示してもらうようにしてください。
(参照:廃棄物の処分に「無許可」の回収業者を利用しないでください!|環境省)
②訪問見積もりと書面での明細
電話やメールのみの概算見積もりは、当日に追加請求が発生しやすい傾向があります。必ず訪問見積もりを依頼するようにしてください。
見積もり書は書面で受け取り、項目別の内訳が明記されているかを確認します。「一式◯万円」の見積もりは避けるのが無難です。
③3社以上の相見積もり
実家の片付けは金額が大きいため、最低3社の相見積もりで相場を把握するのがおすすめです。業者の対応品質(電話対応・訪問時の態度・説明の丁寧さ)も比較対象にしましょう。
極端に安い見積もりは警戒してください。後から追加請求されるケースの典型パターンです。国民生活センターも、遺品整理では見積もり内容や追加料金、作業範囲を事前に確認し、一般廃棄物処理業の許可の有無も含めて事業者選びを慎重に行うよう注意喚起しています。民間調査(LIFULL senior、2023年、n=500)でも、見積もり後の追加請求を経験した人が一定割合に上るという結果が報告されています。詳しくは遺品整理のトラブル事例7選を参照してください。
④口コミ・実績・資格の確認
「遺品整理士」は、一般財団法人遺品整理士認定協会が認定する民間資格です。国家資格ではなく業務独占でもありませんが、業者が一定の知識を持っている目安にはなります。ただし、廃棄物回収に必要な法的許可とは別物なので、資格+許可+実績の3点で総合的に判断するのが現実的です。
みんなの遺品整理などのマッチングサイトでの評価、実績件数、一般廃棄物処理業の許可の有無を総合的に判断するとよいでしょう。
Googleマップの口コミは参考になりますが、情報の信頼性を見極める目が必要です。複数の情報源(マッチングサイトの評価、業者ホームページの作業事例、知人の紹介など)で判断してください。
業者のホームページで、実際の実家片付けのビフォー・アフターが公開されているかどうかも、判断材料として役立ちます。
(参照:一般財団法人遺品整理士認定協会)
実家の片付け業者に関するよくある質問(FAQ)

実家の片付け業者を検討する読者の皆さんから寄せられやすい質問を整理しました。個別の悩みに応じて該当項目を参照してください。
Q1. 実家の片付けはいつから始めるべき?49日後を待つべき?
法律や宗教上は49日前でも問題ないとされています。ただし、親族の心情への配慮は必要です。
急ぐ理由(遠方・賃貸期限など)があれば前倒しするのが現実的で、急がないなら四十九日法要前後が一般的な目安になります。
詳しくは遺品整理は49日前でもいい?適切な時期と始め方を解説の記事で解説しています。
Q2. 立ち会いなしで業者に完全委託できる?
可能です。遺品整理業者の多くが、立ち会い不要のプランを用意しています。
ただし事前に準備しておきたいことがあります。
- 貴重品・重要書類のリスト共有
- 形見分け希望品の指定(写真で送るのがおすすめです)
- 作業中の連絡手段の確認(LINEやビデオ通話でのリアルタイム確認)
- 作業報告書や残置物リストの提供確認
鍵の受け渡し方法(郵送・宅配ボックス・業者立ち会いなど)も事前に決めておきましょう。
立ち会いの有無によってプラン料金が変わる業者もあるため、見積もり時にあわせて確認するとよいでしょう。
Q3. 遠方の実家の見積もりは現地確認なしでできる?
現地確認なしの概算見積もりも可能ですが、当日の追加請求リスクが高くなる傾向があります。
以下のいずれかの方法で現地確認を行うことをおすすめします。
- 業者が現地訪問(出張料の有無を確認してください)
- ビデオ通話で家族が現地から案内する(立ち会い可能な親族がいる場合)
- 業者指定のアプリやLINEで写真・動画を送付する
「完全オンライン見積もり対応」の業者も増えていますが、荷物量の見誤りリスクは残る点に注意してください。
Q4. 見積もりより高くなることはある?
見積もり後に追加料金を請求されるトラブルは、国民生活センターも注意喚起しています。民間調査(LIFULL senior、2023年、n=500)でも、遺品整理業者を利用した人の一定割合(約47%)が追加請求を経験したと報告されています。
追加請求が発生しやすい典型的なパターン:
- 当日になって「この家具は処分費が別」と言われる
- 事前の告知なしに作業人員や車両が追加される
- 特殊清掃が必要と現場で判断される
契約前に、作業範囲・追加料金の有無・見積書の内訳を必ず確認することが最大の防御策になります。「見積もり後の追加請求なし」を書面で明示している業者を選ぶと安心です。詳しくは遺品整理のトラブル事例7選を参照してください。
Q5. 実家を売却するなら片付け業者と不動産会社はどちらが先?
不動産会社への相談は早めに始めてよいのですが、一般的には、家の中を空にしてから査定を依頼するほうが、物件の状態を評価してもらいやすくなる傾向があるようです。
順序のおすすめは、①不動産会社に相談(売却・解体の方針決定)→②片付け業者に見積もり→③片付け実施→④不動産会社の正式査定→⑤売却活動、という流れです。
業者タイプの選択も、売却予定ならハウスクリーニングまで対応できる遺品整理業者が望ましいでしょう。
Q6. 仏壇・位牌はどうすればいい?
仏壇は、処分前にお焚き上げまたは合同供養を行うのが一般的です。宗派によって扱い方が異なるため、故人の菩提寺があれば最初に相談するのがよいでしょう。
費用は依頼先や宗派、仏壇のサイズによって大きく異なります。一般的な傾向としては、業者経由の合同供養が比較的安価で、お寺に直接依頼する個別供養や訪問供養はそれより高くなる傾向があるようです。いずれも事前に費用を確認してから依頼してください。
仏壇の処分については、別記事で詳しく扱う予定です。
Q7. 親が存命のうちに、業者に実家の片付けを頼むのは可能?
可能です。遺品整理業者の多くが、生前整理サービスも提供しています。施設入居の準備、実家を売却する前の片付け、単純に荷物を減らしたい場合などに利用されているようです。
生前整理の費用相場は、遺品整理とほぼ同等です(間取り別の料金表が共通の業者が多いため)。
亡くなった後との大きな違いは、親本人の意思で仕分けができる点にあります。本人の意思で進められるため後悔が少なく、親族間のトラブルも起きにくいというメリットがあります。
私自身は、父の生前に遺品や財産について話せなかったため、亡くなってから「何を残し、何を処分すべきか」の判断に苦労した経験があります。生前整理は費用の話以前に、親の意思を確認できるという点で大きな価値があると実感しています(詳しくは前述の「ハイブリッド方式」で触れました)。
注意点として押さえておきたいこと:
- 親本人の同意を必ず得る(同意なしの依頼は親子関係の悪化につながります)
- 親が元気なうちに少しずつ進めると、費用も負担も抑えられます
- 生前整理で不要品が減っていれば、将来の遺品整理費用も削減できます
生前整理の進め方については、別記事で詳しく扱う予定です。
まとめ|実家の片付けは「業者選びの精度」で総額が大きく変わる
実家の片付けを業者に依頼した場合の費用相場は、一般的な2DK〜4LDKで10〜60万円程度です。実家特有の「遠方・持ち家・大量の荷物」という条件が重なると、想定を超える金額になることもあります。
業者タイプは、遺品整理業者・不用品回収業者・ゴミ屋敷清掃業者・特殊清掃業者の4種類があります。亡くなった親の遺品整理でも、親の生前整理でも、共通して遺品整理業者または不用品回収業者が主な選択肢になります。実家の状態に応じて使い分けることで、総額を数十万円単位で変えることができます。
自力・業者依頼・ハイブリッドの3つの選択肢のうち、持ち家の実家で時間に余裕があるなら、「貴重品確保+形見分けは家族で、残りの処分は業者に一括」というハイブリッド方式がコストと負担のバランスが良いと私は考えています。
親族の合意、相続放棄の可否、不動産処分の順序など、実家特有の注意点を押さえたうえで、訪問見積もり・書面明細・3社相見積もりを徹底することが、トラブルを避ける最大の防御策になります。
業者依頼を検討している方へ
まずは複数社の無料見積もりで、実家の条件に合った業者と費用感を比較するところから始めてみてください。業者によって費用感や得意分野が大きく異なるため、相見積もりは必須です。
自力でやれるか検討したい方へ
まずは自力でやれる範囲を見極めたい方は、実際の手順とかかった費用をまとめた遺品整理を自分でやる方法|実体験から学ぶ手順と限界点の記事が参考になります。私が実家の父の遺品整理を自力で進めた際の体験をベースに、手順・費用・限界点まで整理していますので、あわせてご覧ください。